AI時代に求められるのは、正解を出す力より仮説を回す力
AI時代に求められるのは、正解を出す力より仮説を回す力

AI時代に求められるのは、正解を出す力より仮説を回す力

はい、どうもこんにちは佐藤です!

自分の判断の仕方を振り返っていて、ひとつ気づいたことがあります。

私、ほとんど何も確信していません。

「こうしたらこうなるのでは?」で球を打って、外れたら次を打つ。仕事の打ち合わせでも「つまりこうですよね?」と言って場を前に進めてしまう。副業でも「これ当たるだろ?」で勝負してきました。

正解を持っているから決めているわけではないのです。決めないと進まないから決めている。

そして AI で開発するようになって、この癖がやたらと効くようになりました。

というわけで今日の主張です。

エンジニアの仕事は、正解を出すことから仮説を回すことに変わりました。

その理由を書いていきますね!


私の判断は、だいたい仮説でできている

まず自分の話から。

打ち合わせで仕様がふわっとしたまま終わりそうなとき、私はよく「つまりこうですよね?」と言います。全員が納得する整理ができているから言うのではありません。そこで誰かが「決めた形」を出さないと、その打ち合わせが無かったことになるからです。

外れていたら「いや、そこはこうで」と返ってきます。それでいいのです。むしろ、そう返ってくることを期待して投げています。ゼロベースで「どうしましょうか」と聞くより、外れた叩き台をぶつけたほうが、正解に早く着きますよね。

これは要するに仮説です。検証は相手がやってくれます。

ただ、昔はこの打ち方にコストがありました。実装を伴う仮説は、外したときに全部書き直しになるからです。だから慎重になる。慎重になると決まらない。決まらないと進まない。この渋滞が、私はずっと嫌でした。


AI 開発は、ウォーターフォールとアジャイルの間に落ち着いた

AI を使って開発していて、どんな進め方が効くかというと、これが面白いところで、ウォーターフォールとアジャイルの間くらいなんですよ。

具体的にはこういう順番です。

  1. 基本となるデータの持ち方をはっきりさせる
  2. そのうえで一気に作る
  3. UI などの表面的なものは、後から要望として改修していく

見てのとおり、何も新しくありません。**上流を固めて作って、あとは要望対応する。よくある普通の開発です。**新しい開発手法でもなんでもない。

そして、この上流の部分をどれだけ早く正確にやれるかの勝負であることも、昔と変わっていません。ここは AI が来ても変わらなかったところですね。

では何が変わったのか。外したときの作り直しが、ちょっとだけ安くなりました。

「ちょっとだけ」というのが正直なところです。全部タダになったわけではありません。でも、画面をひとつ作り直すのに 2 日かかっていたものが半日で済むなら、判断の重さは確実に変わりますよね。横着ができる分だけ、仮決めと仮説で乗り切りやすくなったのです。


前に自分で書いたことと、矛盾するようだけど

ここで白状しておきます。

このブログで以前、AI時代にコスト削減の議論は無意味、必要なのはPdM能力だ という記事を書きました。そこでの主張は「開発費に効くのは、やらないと決めることと、仕様を決め切ることだけだ」というものです。

今日はその同じ人間が「仮決めで進め」と言っています。矛盾しているように見えますよね。

なので線を引きます。フェーズが違うのです。

フェーズ進め方
初期開発・ゼロイチ**仮決めで回す。**外して当たり前
保守・要望対応**決め切る。**動いているものを壊す権利はない
DB 設計・データの持ち方**決め切る。**ここだけは仮決めしない

ゼロイチは、まだ誰も正解を持っていない場所です。誰も持っていないものを会議で探しても出てきません。だから仮決めして、作って、反応を見る。

一方、保守や要望対応は違います。**すでに動いているシステムと、それで回っている業務があります。**そこに仮説をぶつけるのは、他人の生活で実験をするようなものですよね。ここは決め切ってから触るべきです。

そして DB 設計。ここは絶対に仮決めしません。データの持ち方だけは、後から一番戻しにくいからです。この話は AI 時代に求められるのは、DB 設計のカードを何枚持てるかだ に書いたので繰り返しませんが、テーブルの選択が人間に残る仕事だという考えは今も変わっていません。

**仮決めしていいのは、戻せるところだけ。**この線引きさえ握っていれば、過去の私と今の私は喧嘩しません。


仮説を回すとは、こういうことです

抽象的な話が続いたので、実例を出します。開発ではなく、副業のアフィリエイトの話です。

私は昔から「これ当たるだろ?」で球を打ってきました。外した球のほうが多いです。

1 球目:女装

メンズメイクが流行り始めた頃でした。真正面から張ると激戦なので、ちょっとずらして狙ったわけです。

結果は、**SNS だけ伸びました。**フォロワーは増えるし、モノも売れる。それなのに収益にはならない。人が集まることと、金が動くことは別なんだと学びました。

2 球目:アダルト

独自サーバーを立てれば競合が少ないと踏みました。読み自体は悪くなかったと思います。

ただ、**別の意味で体力を消耗しすぎて続きませんでした。**やってみないと分からない種類のコストというのが、世の中にはあるものです。

3 球目:ゲーム

これはアクセスが出ました。出たのですが、**トレンドすぎて記事の寿命が短い。**書いた端から古くなっていくので、走り続けないと数字が落ちます。アクセス数の割に収益が伸びない典型でした。

4 球目:アウトドア

これが当たりました。条件はこうです。

  • 単価が高い
  • 化粧品やクレジットカードのような、みんなが狙うところではない
  • 記事の寿命が長い

成果としては、税金がかからない程度には。世間一般から見れば、まあ頑張っている方ではないでしょうか。

さて、ここで見てほしいのは当たった話ではありません。外した 3 つの敗因が、全部違うことです。

女装は「読まれたのに売れない」。アダルトは「続かない」。ゲームは「寿命が短い」。**どれも机の上では出てこない答えでした。**打たなければ 1 つも手に入らなかった知見です。

そして 4 球目の条件は、外した 3 球の裏返しになっていますよね。単価、競合、寿命。この 3 つは、失敗の請求書として受け取ったものです。

仮説を回すというのは、こういうことです。当てることではなく、外し方を蓄積すること。


正解を出す人から、仮説を回す人へ

ここまでの話を、エンジニアの職能に戻します。

私たちはずっと「正解を出す人」として評価されてきました。設計が正しいか。実装が正しいか。見落としがないか。間違えないことが価値だったわけです。

その価値観、まだ有効でしょうか。

AI は、正解を出す部分をかなり肩代わりします。しかも人間より速い。そこで勝負を続けるのは、正直きついですよね。

では人間に何が残るのか。「何を試すか」を決めることです。

ここで大事なのは、AI が増幅器だということです。増幅器は、入力がなければ何も出しません。10 の仮説を持っている人が AI を持てば 100 になります。でも、仮説を持っていない人が AI を持っても、0 のままです。

決められない人は、AI を持っても決められません。むしろ、選択肢が増えた分だけ余計に決められなくなるかもしれない。

**だから差は複利で開きます。**決めて、試して、外して、次を決める。この回転数がそのまま実力差になっていく時代です。

「もう少し情報を集めてから」と言い続けている間に、隣の人は 5 回外して 6 回目を打っています。どちらが正解に近いかは、もう明らかですよね。


まとめ

というわけで、正解を出す力より、仮説を回す力だよ! って話でした。

あ。もう少し正確に言うと、まずは決めて進め、ですねっ。

仮決めと仮説は、賢く見せるためのものではありません。**前に進むためにあります。**決められないと進まない。進まないと検証もできない。検証できないなら、そもそも正解に近づく手段がないのです。

もちろん、どこでも仮決めしていいわけではありません。戻せるところは仮決めで、戻せないところは決め切る。データの持ち方と、動いているシステムだけは慎重に。そこさえ守れば、あとはどんどん外していいと思っています。

私も次の球を用意しているところです。ぜひみなさんも、まず決めて進んでみてください!

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