勤怠管理をSlackからできるようにしたら、上司のブルシットジョブが消えた話
はい、どうもこんにちは佐藤です!
ブルシット・ジョブ、ご存じですか。
デヴィッド・グレーバーが提唱した概念で、「社会的に無意味で、本人もそれを知っているにもかかわらずやり続けている仕事」のことです。もっと価値のある仕事に使われるべき時間が、意味のない作業に吸い取られていく。
最近、クライアント先でそれをまざまざと見てしまいました。
「休むときは Google カレンダーに登録して、上長が承認する」という運用です。承認の実態は、カレンダーに予定が入力されているかを上司が目視確認するだけ。優秀な上司が毎日やるべき仕事では、どう考えてもないですよね。
もったいなすぎる!
というわけで、 n8n と AI を使って撲滅してきました。どのように作ったのか、書いていきますね!
なにを作ったのか
全体のフローを図にするとこうなります。
sequenceDiagram
participant 社員
participant Slack
participant n8n
participant AI
participant Google Calendar
社員->>Slack: @bot 明後日休みます
Slack->>n8n: Webhook でイベント通知
n8n->>AI: メッセージと今日の日付を渡す
AI->>AI: 「明後日」→ 具体的な日付に変換
AI->>n8n: 日付を返す
n8n->>Google Calendar: カレンダー登録メソッドを呼び出す
Google Calendar->>n8n: 登録結果を返す
n8n->>Slack: 「○月○日の休暇を登録しました」と返信
Slack->>社員: 通知
社員は Slack に @bot でメンションを送るだけ。 Google カレンダーへの登録が自動で完了します。上司の確認作業も不要です。
なぜインターフェースは Slack なのか
画面の移動は、ユーザーにとって見えないコストです。
新しいツールを覚えて、 URL を開いて、ログインして、フォームを埋めて……。その手間が積み重なると、「まあいいか」となり、結局使われなくなります。そういう失敗を何度も見てきました。
今回の仕組みは、社員がいつも使っている Slack にメンションを送るだけ。新しいことを覚えなくていい。ログインも不要。手間の追加がゼロに近いのです。
システムは使ってもらって初めて価値が生まれます。使いやすさは機能より先に設計するべきことですよね。
なぜ AI を噛ませるのか
Slack をインターフェースにした以上、自然言語の入力は避けられません。
「明後日休みます」「来週の月曜は有給で」「3 日から 5 日まで夏休みにしたい」。人が Slack に書く言葉は、システムが直接解釈できない表現だらけです。「明後日」がいつなのか、システムには判断できません。
ここで AI の出番です。今日の日付とメッセージを渡せば、曖昧な表現を具体的な日付に正確に変換してくれます。
もうひとつ、AI を入れることで登録の厳密性が不要になります。
これ、ちょっと変な言い方ですが重要なポイントです。「 AI だから多少は仕方ないよね」という空気が生まれます。人が介入するシステムは、厳格さをもとめやすい。 AI がワンクッション入ることで、ユーザーも運用もゆるやかになるのです。
そして何より、 AI が代わりにやってくれることで、いかにブルシットな作業だったかが浮き彫りになります。 AI が 1 秒でやっていることを、人間が毎日確認していたわけですから。
AI の担当範囲をあえて絞った理由
AI にやらせる仕事は「日付の変換だけ」です。それ以外はメソッドに任せています。
なぜそうするのか。カレンダー登録には、意外と多くのロジックが含まれているからです。
flowchart TD
A[日付を受け取る] --> B{その日の休暇予定は?}
B -- 登録なし --> C[休暇を登録する]
B -- すでに登録済み --> D[スキップする]
B -- 削除リクエスト --> E{予定は存在する?}
E -- あり --> F[予定を削除する]
E -- なし --> G[スキップする]
登録、重複チェック、削除の確認……。これらすべてを AI に指示で判断させようとすると、プロンプトが複雑になります。複雑なプロンプトは、ミスを誘発します。
さらに、 AI にすべてのデータを渡して判断させると、トークン消費が莫大になります。勤怠を 1 件登録するだけで 5 円以上かかるようでは、笑えないですよね。
AI は日付の変換だけに専念させて、あとはメソッドが確実に処理する。役割を分割することで、コストを抑えつつ、ミスが起きにくい設計になります。 AI はあくまで「判断の入口」であって、「すべての処理を任せる」のとは違うのです。
まとめ
というわけで、 AI と n8n でブルシットジョブを撲滅してきたよ!って話でした!
あ。正確には、人間がやらなくていい確認作業を、仕組みに任せよう って感じですねっ。
AI を使えばすべて解決、というわけではありません。 AI に任せる範囲を絞り、メソッドで確実に処理する部分をきちんと分ける。その設計があってこそ、安くて壊れにくいシステムができます。優秀な上司には、もっと大事なことに時間を使ってほしいですよね。
弊社では n8n の支援も行っています。ただし、諸事情によりアルバイト契約でのご依頼に限らせていただいております。 n8n でフロー自動化をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください!