WEBアプリは、これからのエクセルになる
WEBアプリは、これからのエクセルになる

WEBアプリは、これからのエクセルになる

はい、どうもこんにちは佐藤です!

同居人が職業訓練で WEB アプリを学び始めました。

その様子を横で見ていて、思ったことがあります。

「苦労して成長痛に耐えているの見るの好きだわ」という自分自身のドSっぷりに!

……ではなくて。

これ、プログラミングの勉強というより、事務の勉強だなと。入力があって、処理があって、出力がある。やっていることは、エクセルで表を組むときと同じ頭の使い方です。

そこで今日の主張です。

WEB アプリは、これからのエクセルと同じ立ち位置になります。

つまり、エンジニアだけの道具ではなくなる。みんなが学んでいくべきものになるということです。

「またノーコードの再来みたいな話でしょ」と思いましたよね。分かります。私も RPA とノーコードの盛り上がりと、そのあとの静けさを見てきた人間です。**なぜあれは流行らなかったのか。**そこに答えを出すところから書いていきますね!


アプリの発端は、事務処理の自動化だった

そもそもの話をさせてください。

アプリケーションというのは、事務処理をいかに自動化するかが発端です。伝票を書き写す、集計する、転記する。人間が手でやっていた事務作業を機械に移す。それが出発点でした。

そして、誰でも使える事務のプラットフォームとして、エクセルが必須になったわけです。

考えてみると、エクセルの守備範囲は異常ですよね。会計もできる。シフト管理もできる。在庫表も、見積書も、簡易的なデータベースまで作れてしまいます。専用のシステムを買わなくても、とりあえず回る。中小企業の業務システムの相当部分は、いまも実体はエクセルでしょう。

ここで大事なのは、エクセルを使える人が「プログラミングを学んだ」わけではないことです。彼らが身につけたのは、入力があって、処理があって、出力があるという構造の理解でした。

この流れ、アプリのフレームワークの話だと思われがちですが、**エクセルにも露骨に効いてきます。**入力用のシートがあって、計算式のシートがあって、出力する帳票がある。分けて作れる人の表は読めるし、全部を 1 枚に詰め込む人の表は読めません。

つまり、WEB アプリを学ぶことで事務の自動化の基礎が身につくのです。これは良いことだと思っています。


では、なぜ RPA とノーコードは流行らなかったのか

さて、ここで冒頭の疑問です。

事務の自動化という意味では、RPA もノーコード・ローコードもまったく同じ路線でした。むしろ「プログラミング不要」を掲げていた分、民主化には近かったはずです。

なのに、エクセルのようにはなりませんでした。もちろん、やっているところはやっています。でも「どの会社にもある」という状態には、ついぞならなかった。なぜでしょうか。

私の答えはこれです。

引き継げないから。

作った本人が異動したら終わり。退職したら誰も触れない。そういうものは、組織の道具になれません。

面白いのは、エクセルの中でも同じ現象が起きていることです。**エクセルのマクロは難しい。**組んだ本人しか分からないし、引き継ぎでは高確率で放置されます。一方で、関数で組まれたエクセルの表程度なら、簡単に引き継げますよね。セルを追えば何をしているか読めるからです。

同じエクセルなのに、この差はどこから来るのでしょうか。


引き継げるかどうかは、外部結合の数で決まる

ここが今日いちばん言いたいところです。

引き継げるかどうかを分けているのは、処理の難しさではありません。外部との結合の数です。

引き継げるのは、こういうものです。

  • A をしたら、単純な処理で B になる Python プログラム
  • A を入れたら、B が返ってくる エクセル

入力と出力が閉じています。だから、中で何が起きているか読めますし、読めなくても入れて出せば分かる。

これが RPA になってくると、様相が変わります。**A をやって、B のボタンを押して、C を選択して、D をする。**画面操作の連鎖です。しかも、その途中で外部のシステムを触っている。こうなると、どうしてこうなっているのかが全く読めなくなります。

マクロも同じです。複数のデータソースから引っ張ってきて、Access のテーブルを見に行って、外部と連携している。この状態になった瞬間、素人の手を離れます。

私が実際に見た極みは、複数のカラムを見て商流を判断しているシステムでした。当時の素人マクロの寄せ集めで、書いた人が何人もいる。複数人格のソースコードです。もう誰にも読めません。

はい、沼です。

1日リバースするとぐったりしていました。

こうなると、**それはプロの仕事になります。**実際、「メンテできないからやって」という案件は昔から発生していますよね。エクセルマクロも RPA も、行き着く先は同じです。

**素人が作れる範囲と、素人が引き継げる範囲がズレている。**RPA とノーコードが定着しなかった理由は、突き詰めるとこれだと思っています。作れてしまうから、引き継げないものが増えたのです。


AI が広げるのは「関数の表」の範囲だ

では AI で何が変わるのか。

AI に聞けば、ある程度は引き継ぎができてしまいます。

正直に線を引いておくと、万能ではありません。AI が読み取れるのは「何をしているか」までで、「なぜそうしたか」は読めないからです。商流を判断していたあのシステムを AI に読ませても、当時の業務上の事情までは出てきません。だからADR を書くという話になるわけですね。

でも、ここで対象にしているのはもっと単純な業務です。A を入れたら B が返る、あの範囲。そこなら AI に聞けば済んでしまう。

これは要するに、「関数で組まれたエクセルの表」の面積が広がったということです。今までなら手が届かなかった処理まで、引き継げる側に入ってくる。引き継げる範囲が広がれば、作っていい範囲も広がります。

実例があります。私の友人は**事務職として入ったのに、Claude Code で会計の Access を作らされています。**エンジニアではありません。事務の人です。

これが特殊な話かというと、たぶん違います。一億総エンジニア化は、こうして進んでいくのだろうなと思っています。


それでもプロの仕事は無くならない、むしろ増える

「じゃあ我々の仕事は減るのか」という話ですよね。ここは、はっきり否定しておきます。

減りません。増えます。

理屈は単純です。作れる範囲が増えれば、連携の数が増えてくるからです。

事務の人が自分の担当業務のアプリを作る。隣の部署も作る。営業も作る。**するとどうなるでしょうか。**それぞれが別々のデータの持ち方をした小さなシステムが、社内に何十個も生まれます。そして必ず「これとこれを繋ぎたい」が始まるのです。

前の章で見たとおり、**外部と繋がった瞬間に、それは素人の手を離れます。**つまり、民主化が進めば進むほど、プロが呼ばれる場面は増えていきます。

そこで求められるのが、ドメインの切り分けと仕様調整です。どこまでを 1 つの塊として扱うか。どのデータを正とするか。誰が持ち主か。このブログでずっと書いてきたテーマが、そのまま仕事になります。

以前 AI時代のWEB業務アプリの話をしよう、システムをいかに人に近づけるか という記事を書きました。あちらはシステムが人に近づいていく話でした。今日の話は、その鏡合わせです。人のほうがシステムに近づいていく。

両側から距離が縮まっているわけですね。そして、縮まった先で発生する調整こそが、プロの領分になります。


まとめ

というわけで、WEB アプリはこれからのエクセルだよ! って話でした。

プロは、より難しいことを対応するようになります。素人が作れるものが増えた分、その上に積み上がる調整の仕事が増えるからです。だからこそ、みんなが学んでいくことになるのだと思っています。

エクセルがまさにそうでしたよね。表計算が全員の道具になったからといって、会計システムを作る人は消えませんでした。全員が使えるようになったからこそ、その上に難しい仕事が積み上がったのです。同じことが、もう一段上で起きようとしています。

同居人が職業訓練で学んでいるのは、たぶんプログラミングではありません。これからの事務の基礎です。

みなさんの周りの事務の方も、そろそろ何か作り始めているかもしれませんよ。ぜひ覗いてみてください!

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