技術への投資は、普通の投資と同じだ
はい、どうもこんにちは佐藤です!
先日、WEBアプリは、これからのエクセルになる という記事を書きました。同居人が職業訓練で WEB アプリを学び始めた、という話です。
そうしたら、聞かれてしまいました。「で、結局なにを勉強すればいいの?」
私の答えはいつも決まっています。気になったもの全部やれ、です。この持論は AI時代、入門エンジニアは結局どの言語を勉強すればいいのか にも書きました。今も変わっていません。
……とはいえ、それだけだと不親切ですよね。もう少し補助線を引きましょう。
技術への投資は、普通の投資と同じだ!
グロース株があって、債券があって、全世界株がある。技術にも、まったく同じ 3 分類が存在します。そう考えると、何にどれだけ張るかの話がしやすくなるのです。
その話を書いていきますね!
技術も資産だ。3 つに分けられる
まず分類から。技術は、こんなふうにマッピングできます。
| 技術の分類 | 中身 | 金融で言うと |
|---|---|---|
| 投機的リスク資産 | 比較的新しく、生き残るか分からない技術 | グロース株 |
| 安全資産 | 使い古されていて、保守でも新規でも案件がある技術 | 国債・債券 |
| 中核的リスク資産 | ゲームチェンジャーになる技術 | 全世界株 |
ひとつずつ見ていきましょう。
投機的リスク資産は、出てきたばかりで生き残るか分からない技術です。当たれば大きい。消えたら丸損。フレームワークの新顔なんかは、だいたいここに入りますよね。
安全資産は、Java やデータベースのように使い古されたものです。保守でも新規でも案件があるのが強みで、派手ではないけれど食いっぱぐれません。国債みたいなものです。
中核的リスク資産は、ゲームチェンジャーになる技術。クラウドと AI がここです。リスクはあります。ただ、**勝てる見込みが明らかに強い。**全世界株のポジションですね。
この 3 つ、どれが偉いという話ではありません。混ぜ方の問題です。
若い時はリスクを取れ。歳を取ったら債券を混ぜる
投資の教科書に書いてあることと、まったく同じことが言えます。
**若い時はひたすらリスクを取る。**外しても時間で取り返せるからです。20 代で流行りの技術に全部乗って、半分が消えても構いません。残り半分が当たれば、それで 10 年戦えます。
**中高年になったら債券を買い始めて、リスクを減らしていく。**守るものが増えるからですね。回復に使える時間も減ります。ここで投機に全ツッパすると、外したときに戻ってこられません。
そして、中核投資は全世代共通です。クラウドと AI からは、何歳だろうと降りてはいけません。ここを持っていない人は、若かろうがベテランだろうが等しく置いていかれます。
自分の年齢と責任を見て、配分を決める。それだけの話なのですが、意識してやっている人は少ないのではないでしょうか。
私のポートフォリオは、気づいたら債券寄りになっていた
自分の話をします。振り返ってみると、私の技術もこの通りに動いていました。
若い時は、WEB サイトに全ツッパでした。スマホが出たばかりの頃です。当時まだ希少だったレスポンシブデザインに振りました。今なら誰でもやりますが、当時は「そんなもの必要か?」と言われる技術です。完全に投機ですよね。
これが当たりました。
そのままフロントエンドへ流れます。技術の移り変わりが早く、陳腐化しやすい領域です。フレームワークが 2 年で入れ替わる世界ですから、これも投機的資産の運用でした。
そして今。枯れた技術のバックエンドと、バックエンドのドメイン設計をやっています。バックエンドのままインフラにも手を出しているので、これまた枯れた技術ですね。見事に債券寄りのポートフォリオです。
ここで正直に書いておきたいのですが、これ、意識してリバランスしたわけではありません。「そろそろ守りに入るか」なんて考えたことは一度もないのです。気がついたら、そうなっていました。
なぜかと言えば、答えははっきりしています。ビジネスの中核と、非機能の責任を持つようになってきたからです。
落ちたら困るシステムを預かる。データの持ち方を決める。可用性とセキュリティに責任を持つ。**その立場になると、流行りものを本番に入れる判断ができなくなります。**当たり前ですよね。他人の商売が乗っているのですから。
責任範囲が変わると、ポートフォリオは勝手に安全資産へ寄っていくのです。
これは自然なことだと思っています。ただ、放っておくと中核まで手放してしまうのが怖いところですね。守りに入ること自体は正しいのですが、クラウドと AI まで降りてしまうと、そこで止まります。
負けた投資の話をします
ここまで読むと、うまくやってきたように見えるかもしれません。そんなことはありません。
盛大に負けた投資があります。
Flash です。高校の頃からゲームで触っていて、そのまま仕事でも使っていました。私にとっては長い付き合いの技術です。それが、IE とともに消滅しました。
AMP もそうですね。当時は「これからはこれだ」という空気がありました。今、見る影もありません。
そして、これが一番堪えたのですが、**安全資産だと思っていたものが廃れることもあります。Struts2 です。**Java の、あの Struts2。まさか、あんな終わり方をするとは思っていませんでした。国債のつもりで買っていたものが、紙くずになったわけです。
では、どうやって見切ったのか。私の損切りの基準は 2 つです。
- 案件がなくなったとき
- SEO が効かなくなったとき
案件が消えるのは、市場が撤退した証拠です。そして SEO。検索して情報が出てこない、あるいは検索する人がいなくなった技術は、もう次の書き手がいません。この 2 つが揃ったら、未練なく切ります。
「もう少し様子を見よう」が一番危ないですよね。株と同じです。
AI は中核的リスク資産だ
最後に、いま自分がどこに張っているかを書いておきます。
**AI は、中核的リスク資産だと思っています。**投機ではありません。
「まだグロース株では?」という見方もあるでしょう。分かります。ただ私は、クラウドが辿った道をもう一度見ている気分です。クラウドも出た当初は「本番で使えるのか」と言われていました。それが 15 年で、安全資産の側に移りました。AI も同じ道を歩くと踏んでいます。
リスクはあります。それでも**勝てる見込みが強い。**だから全世代共通の中核として持つべきだと考えています。
そして、だからこそ、こうして発信しているのです。
このブログを書くのも、AI での開発を試し続けるのも、私にとっては投資行動そのものです。この記事の存在自体が、私がどこに張っているかの証拠になっています。設備投資の話は AI で作るコストが下がった今、生き残る条件は「センス」になる **にも書きました。**買っておくべきものには、金と時間を突っ込むしかありません。
まとめ
というわけで、技術への投資は、普通の投資と同じだよ! って話でした。
結論は最初と変わりません。気になったもの全部やれ、です。そこは譲りません。興味が湧いた時点で、それはもう自分にとって伸びる領域ですから。
ただ、こういう考え方をしてみてもいいかもね、という話です。
いま自分が持っているものは、投機なのか、債券なのか、中核なのか。**年齢と責任に対して、その配分は合っているのか。**たまに棚卸ししてみると、意外な偏りが見えてきます。私自身、この記事を書きながら「思ったより債券が多いな」と気づきました。
負けても大丈夫です。私も Flash と AMP と Struts2 で負けています。負けた分は、次に張るときの目が良くなると思えばいいのではないでしょうか。
ぜひみなさんも、自分のポートフォリオを眺めてみてください!